シティはビットコインを銀行グレードのカストディおよびレポーティング枠組みに組み込み、モルガン・スタンレーは暗号資産取引やレンディングの検討、トークン化商品の富裕層向け主流化を進めている。
シティグループ(Citigroup/C)は、年内に機関投資家向けのビットコイン(BTC)カストディを開始する計画であり、デジタル資産を同社の伝統的な金融インフラに統合する広範な取り組みの一環と位置付けている。
シティでデジタル資産カストディ商品開発を主導するニシャ・スレンドラン氏は、木曜日に開催されたWorld Strategy Forumでの講演で、この取り組みを「ビットコインを“銀行で扱える(bankable)”ものにするための努力」と説明した。出発点は機関投資家向けの鍵管理およびウォレット基盤だが、狙いはそれにとどまらない。顧客が従来の資産で利用しているカストディ、レポーティング、コントロールといった枠組みにビットコインを組み込むことだと述べている。
スレンドラン氏は「私たちは暗号資産・証券・マネーにまたがる単一のサービスモデルを顧客に提供する」と語り、ビットコインの保有状況は株式や債券と同様のレポーティング経路および税務ワークフローに組み込まれるとしている。
また顧客はSWIFT、API、もしくはユーザーインターフェースを通じて取引指示を行うことが可能であり、「顧客にとって重要なのは“指示する”ことだけ。清算や決済の複雑さは当社が担い、結果をレポートする」と説明した。
シティが“銀行で扱えるビットコイン”を目指す背景には顧客需要がある。スレンドラン氏によれば、同社の顧客調査では顧客が「ウォレットや鍵、ワンタイムアドレスの管理を望んでいない」ことが明らかになった。顧客は慣れ親しんだ銀行システム内でビットコインのエクスポージャーを持つことを求めており、さらにシティは暗号資産と伝統資産のクロスマージンを可能にしたいと述べている。
同氏は、複数の資産タイプが単一のマスター保管(safekeeping)やカストディ口座の下に統合される将来の姿を描いており、そこには米国債、外国債、トークン化マネー・マーケット・ファンド、そしてビットコインが含まれるとしている。
「これらすべての資産が同じ口座構造内でアクセス可能であることが、クロスマージンをより使いやすくする」とし、暗号資産を伝統的な取引所やブローカーディーラーで利用する機会やその逆の可能性も視野に入れている。シティはそれを支えるインフラを構築する方針だという。
大手銀行がデジタル資産領域に進出する動きは珍しくない。機関投資家は長年にわたり、伝統的な金融機関を通じてこの分野へのエクスポージャーを求めていた。ブラックロックのETFによるより多くの投資家のアクセス開始を端緒として、この流れは多くの銀行や金融機関に広がり、レガシーの金融サービスをデジタル資産分野に統合する動きが継続している。
例として約8兆ドルの資産を管理するモルガン・スタンレーは、ビットコイン、イーサリアム、ソラナの上場商品を申請し、ウェルス・プラットフォーム全体でのウォレット技術の検討も進めている。さらにE*TRADEで現物暗号資産取引を展開し、デジタル資産に関連するレンディングや利回り機会も評価している。
モルガン・スタンレーの最近任命されたデジタル資産責任者エイミー・ゴレンバーグ氏はスレンドラン氏の登壇前にStrategy Worldイベントで「これは社内で作り上げる必要がある。技術をただ借りるだけでは不十分だ」と語った。
シティは世界220超の決済・送金ネットワークに接続し、規制が明確になる中で顧客需要の増加に対応し、プライベートな許可型ブロックチェーンからパブリックネットワークへの展開も進めている。このアプローチはJPMコインで知られるJPモルガンの手法に近い。
稼働中のユースケースの一つに「Citi Token Services for cash」があり、これはシティのグローバルシステム内で資金移動を行う24時間稼働のブロックチェーン基盤ネットワークである。スレンドラン氏は「ビットコインのような24時間市場に移行するなら、24時間対応の米ドルやデジタルマネーが不可欠」と述べ、シティの社内システムも24時間対応に適応しつつあるとした。
24時間市場は機関投資家がレガシー金融機関に求めてきた要件でもある。ニューヨーク証券取引所(NYSE)は先月、トークン化株式とETFのために24時間運用するブロックチェーン取引所の年内導入を計画していると発表した。
また、NYSE最大の競合であるナスダックも12月に、金融市場のグローバル化と投資家需要に対応するため、株式および上場取引商品(ETP)の“ほぼ24時間”取引推進計画を明らかにしている。
