今週マイアミで開催されたiConnections会議において、資産配分主体(アロケーター)はデジタル資産がオルタナティブ投資の主要スリーブへと変化しつつあることを示唆しました。
世界最大級の資本導入カンファレンスを運営するiConnectionsのCEO、ロン・ビスカルディ氏によれば、世界でも有数のアロケーターの間でデジタル資産に対するムードが再び変化しているとのことです。
オルタナティブ投資業界で25年以上の経験を持ち、総資産5,500兆ドル超を代表するプラットフォームを運営するビスカルディ氏は最前線で現場を見ており、同社がファンドマネジャーや機関投資家間の毎年数千件に及ぶミーティングを追跡するデータは、センチメントの転換スピードの速さを示しています。
FTX崩壊に伴う2022年の暗号資産市場の深刻なクラッシュを経て、昨年の会議でようやく関心が安定し始めたと同氏は振り返り、「2025年にはファンドが戻ってきて、少しずつ資金を割きたいとの動きが見え始めた」と述べました。ワシントンにおける暗号資産に対する友好的な規制姿勢への期待が追い風となっているものの、進展は依然として緩慢です。
またビスカルディ氏は、「今年のイベントで感じられるのは、より“通常”の体験に近づいていることで、極端に熱狂しているわけでも、逆に“近寄りたくもない”というような雰囲気でもない」と語りました。
トーンの変化
今年のiConnectionsイベントには75本以上のデジタル資産ファンドが参加し、マネジャーとアロケーター間で約750件のミーティングが行われました。これはFTX崩壊前の暗号資産への関心が急増していた2022年と同水準です。プラットフォーム上でのアンケートによると、LP(リミテッド・パートナー)の約4分の1がデジタル資産戦略に関心を示しており、暗号資産が単なる周辺的配分を超えて、オルタナティブ投資内で確立された“スリーブ”の一角となっていることを示しています。
最もデジタル資産への関心を示すLPの最大層はファミリーオフィスであり、これまで革新的な新興資産クラスに先行投資を続けてきた従来の傾向とも合致しています。
このトレンドは近年拡大しており、慎重姿勢を崩さないファミリーオフィスも存在する一方で、伝統的なウェルスマネジャーには富裕層顧客向けにデジタル資産を提供する圧力が高まっています。特にドバイ、スイス、シンガポールといった暗号資産のホットスポットではその傾向が顕著です。
こうした関心は暗号資産冬の時代にあっても持続しており、今年に入りビットコイン(BTC)は約25%の下落を記録し、10月の史上最高値から時価総額で1兆ドル超失いました。Coinbase(COIN)やStrategy(MSTR)などの主要暗号資産関連企業の株価も大幅に下落し、多くのテック株を下回っています。
それでもビスカルディ氏は、デジタル資産のマネジャーは「機関投資家としての正統性(institutional legitimacy)」を獲得する寸前にあると考えており、ビットコインはすでにそのラインを越え、アルトコインも近い位置にあると述べました。「最後に残る課題は、安全に運用可能な規制フレームワークの整備だ」と指摘しています。
CIO(最高投資責任者)にとって最大の論点はこの点であり、「規制のハードルが第一で、結局いつもそこに戻ってくる」と述べています。
ビスカルディ氏は大口アロケーターは受託者(フィデューシャリー)であると強調し、「彼らは自らの資金ではなく他人の資金を預かる立場であり、いかに魅力的なカテゴリであっても、理事会に責任ある安全な手法での運用を説明できるまで資金配分は行わない」としています。
議論のトーンも変化しており、2022年には暗号資産が本物かどうかを疑う声も多かったが、「現状ではそのような話は聞かれない」と語りました。
さらに、かつては保守的とされていた大学基金(エンダウメント)など長期的な安定を重視する資本プールでさえ、ビットコインやイーサリアムのETFへの配分を開始しつつあります。これはポートフォリオの全面刷新を目指すものではなく、暗号資産が好調な年にリターンを向上させるための限定的なエクスポージャーを追加する狙いです。背景には、株式が過去10年のような高いリターンを今後見込めないとの予想もあります。
それでもリスク資産
それでもアロケーターはビットコインを「価値保存」よりは「リスク資産」として捉える傾向が強いといい、「ビットコインはこれまでそのように振る舞ってこなかった」と述べています。市場がストレスを受ける局面でも金ではなく株式と相関しやすいことを挙げました。
同様に、機関投資家が直接トークンを購入するケースはまだまれで、代わりにETFやファンドを通じた投資が主流です。LPはGP(ジェネラル・パートナー)が選ぶ個別のコインに依存しており、「この領域に参入するLPは意思決定をGPに委ねたいと考えている」とのことです。
一方、暗号資産企業が自社のプロダクトやサービスの認知拡大に投資する動きは珍しくなく、今年のイベントではスポンサー数が大幅に増加しました。BitGo(BTGO)、Galaxy Digital(GLXY)、Ripple、Blockstreamは上位スポンサーとして参加しています。
