ロビンフッドは、イーサリアムのレイヤー2にあたる独自ブロックチェーンのパブリックテストネットを公開し、本格的なローンチに向けて準備を進めている。今回発表された新ネットワーク『Robinhood Chain』はArbitrum上に構築されており、トークン化された株式やETFなど実世界資産(RWA)の取引をサポートする設計となっている。
同社はCoinDesk主催のConsensus Hong Kongで、6カ月間のクローズドテストを経て開発者がネットワーク上で初めて自由に構築可能になったと明かし、今後メインネットの立ち上げを予定していることも示した。Robinhood Chainは24時間365日の取引基盤を提供し、同社の暗号資産ウォレットでセルフカストディを可能にする狙いがある。また異なるチェーン間のブリッジやイーサリアム上のDeFiアプリとの連携も計画されている。
これはイーサリアムのベースレイヤーがアップグレードを進め、取引コストの引き下げと混雑緩和に注力するフェーズに合わせた動きである。レイヤー2の役割が純粋なスケーリングにとどまらないことを前提に、ロビンフッドはその方向性を先取りした形だ。
ロビンフッドの暗号資産部門のSVP兼GM、ヨハン・ケルブラット氏はCoinDeskの取材で「イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏も以前からレイヤー2は単なるスケーリング手段ではないと語っていた。我々も単にイーサリアムのスケールアップや高速取引を目標にはしていない」と述べた。
今回のテストネット公開は、これまで同社が進めてきたトークン化戦略の延長線上にある。昨年から欧州ユーザー向けに米国株やETFのトークン版を提供し、配当の支払いと時間外取引も拡大してきた。Entropy AdvisorsがDune Analyticsで集計したデータによると、トークン化された資産は約2,000銘柄に及び、初期はArbitrum上で発行されたが、総発行額は主要発行者であるxStocksやOndo Global Marketsを下回っている。
レイヤー2のロールアップは、初期にはイーサリアムの高騰する手数料や限られたスループットに対する「回答」として注目されたが、レイヤー1の処理能力が向上したことにより、その役割は変化しつつある。現在はイーサリアム本体に組み込みが難しい機能を実装できるカスタマイズ可能なアプリケーション特化環境としての側面が強まっている。
ケルブラット氏は「我々が求めたのはイーサリアムのセキュリティ、EVMチェーンの流動性、そしてイーサリアム・エコシステムそのものだ。同時にチェーンをカスタマイズし、伝統的資産のトークン化に最適化する方法も必要だった」と説明した。
Robinhood Chainは高速取引ロールアップとの単なる競合を目指すのではなく、規制対象となるトークン化株式などの金融商品に特化し、各法域のコンプライアンス要件に対応できる設計がなされている。
ケルブラット氏は「金融システム全体の再現とその上にさらに多くの機能を載せる複雑性から、ブロックチェーンは専門化が必要だと考えている。決済に特化したチェーンが登場し、我々のようにトークン化株式に特化するチェーンも現れるだろう」と述べた。
ブテリン氏は最近、コンプライアンスや実世界資産に関わる分野ではいくつかのロールアップが分散化のトレードオフを受け入れる必要があるかもしれないと指摘し、これがエコシステム内で議論を呼んでいる。一方でケルブラット氏は、この議論がロビンフッドの戦略を大きく変えるものではないとし、「法域ごとのコンプライアンス要件という前提で設計しており、これらはチェーンに組み込める」と述べた。
ロビンフッドは2025年6月に独自ブロックチェーン計画を初公表し、トークン化およびオンチェーン金融の推進を目的とした包括的な取り組みの一環とした。それ以降、開発は主に非公開で進行していた。
今回のテストネット公開により、開発者はネットワークへのアクセス、ドキュメント、標準的なイーサリアム開発ツールを利用可能となった。今後はメインネットに先立ち、株式トークンなどのテスト専用資産提供やウォレット・オンチェーン金融ツールとの統合強化など、テストネット機能の拡充を計画している。
